swampの忘備録

エンジニアが、情報系のイベント行ったときとかプログラミングなどの情報工学について忘備録として書くつもりです。

Regional Scrum Gathering Tokyo 2024 Day2, Day3 参加記録

こんにちはswampです。

今年もRegional Scrum Gathering Tokyo 2024 に参加してきました。アジャイルマインドあふれる空間で色々な方とお話しできてとても楽しかったです。

3部構成で私がRSGT2023に参加した感想と私が聴講した各セッションの簡単なレポートをお届けできればと思います。

今回はDay2, Day3で聴講したセッションのまとめや感想をお届けします。

目次

Solving The Value Equation

ざっくりとしたまとめ

「価値」にフォーカスしたお話でした。まだまだ知識不足で正直理解できていない部分が多いので私のメモをもとにNotion AIさんに要約してもらいました。(違いそうだなと思う部分は修正していますが、私自身が間違った解釈をしていたら申し訳ありません…)

Notion AIによる要約(一部改変)

価値の創造については、開発者の生産性を測定するだけでは不十分(価値や生産性を計測することが目的になってしまうと悪い副次効果がでてしまう)で、生産性はチーム全体から生まれるという考えが重要です。 価値の種類には顧客、ビジネス、技術、社会/倫理、イノベーション/学習、ROIなどがあり、これらを組み合わせて価値を最大化することが求められます。価値の最大化には顧客とのアライアンスを取ることや距離の近さという観点も重要です。 また、価値創造のためには、制約とうまく付き合う必要があり、それぞれの会社のカルチャーや外圧によって新たなビジネスが生まれることも考慮しなければなりません。 最終的には、価値創造のための新たな価値を生み出すことを意識し、それらの相乗効果を見つけ、持続的な成長を実現するための価値のはしごを作ることが重要です。

感想

価値創造のための新たな価値を生み出すことと言う中で、真にイノベーションを起こすには、お客様の満足を一番の課題に考えるのではなく、価値をどのように作るか。新たな価値を生み出すことを意識するということをおっしゃっていて印象に残りました。例えばAmazonはECの会社だったがクラウドコンピューティングという新たな価値を生み出しています。

最後の質問では、プログラマーとして課題解決に向き合うときは、どういう背景が存在しているのかよく調べて学ぶことで、よりよい問題解決手法を目指すことができる。技術的な能力を伸ばすことも必要だけど他の業界のことも知ったほうがよい。好奇心をもって問題解決をするんだという意識を開発者としても持っておくとよさそうといったことをおっしゃっており、プロダクトやプロジェクトにかかわる全員が好奇心を持ち、全力で関わることが重要そうだと感じました。

全体的に、価値って何って考えさせられる内容でした。価値を指標にするのではなくて、価値を生み出していく過程やそれをはしご的に繰り返していくことが継続的なイノベーションに重要だと強く思いました。

ビジネスとチームと組織が自律的に連携と成長するフレームワーク

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感想

これからヒト・モノ・カネ・エネルギーがどんどん少なくなっていく枯渇先進国日本の中では、少ないリソースで社会貢献していかなければならないという話は目から鱗でした。

これから各領域の専門家を雇って分業でやっていくのは困難な時代になってくるので、プロダクトに関わるどのような立場であっても、どう売るのかなどのビジネス的な観点や指標を持つことは非常に重要だと感じました。

ビジネスサイドの方と仕事をすることも最近増えてきましたがどうしても開発と言う側面で考えてしまっている部分は多いので、常に全体を見たプロダクト開発というものを意識していきたいです。自分たちでも工夫しながらどういったプロセスや手法を使えばそれが実現できるのか考えていきたいです。

約30年の時を超えたデザインパターンの価値 -現代のスクラムチームの開発者がGoFのデザインパターンを学び直し得たもの-

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感想

CSD研修(認定スクラムデベロッパー研修)で研修の半分がデザインパターンの様々な問いから理解を問われるという内容だったことでその価値を実感し、GoFデザインパターンを学ぶ直す過程を発表いただきました。

効果的な学び方として以下のことが紹介されていました。

  • 似ているパターンを比較する
  • さまざまな設計原則の適応方法を学ぶ
  • 同じパターンの異なる実装例を学ぶ
  • パターンを適応していく過程を学ぶ
  • 自分の理解を人に説明する

特に自分の理解を人に説明する(なんでもいいのでアウトプットしてみる)という部分は、技術を自分のものにしていく中で非常に重要だと思いました。

物事の本質を多角的な観点から深く学んでいくというのは、たとえ世の中から古いと言われている技術でも大事なことなのだなあと感じています。僕もGoFデザインパターンを学んでみたくなりました。

激録・開発密着10ヶ月!!〜消えたスプリントゴールの行方〜

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感想

スプリントゴールが消えていた状態から意味のあるものに進化させていく過程をお聞きできて非常に有益でした。 私のチームでもスプリントゴールは一応決めていましたが、タスクがそのままゴールとなっていて、意味のあるスプリントゴールとは言えないものでうっとなりました。 チームメンバー、ステークホルダーが1つの方向を向けるスプリントゴールを工夫して作っていくこと、それをプロダクトのコミットのために活用していくことが非常に重要だと感じました。 自分のチームにもあうような意味のあるスプリントゴールが作れるようにしていきたい。

みんなでギャザってふりかえりカタログを作ろう!~おすすめ手法、体験談、みんなで集めよう!~

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感想

コミュニティ版のふりかえりカタログをみんなで見て、気になるところは周りの人と話しながらどんな思い出を書いたり好きな手法に投票したりしてました。 ふりかえりカタログにはいつもお世話になっているので改めてみることができて良かったです。

Quality and Attractive Quality Creation Learning from the Kano Model - Kano Modelと魅力品質理論

ざっくりとしたまとめ
  • 漢字はアルファベットと比較するものではない。単語と比較するもの。
    • ImportantはImport(輸入したもの、舶来品)から来ている → そこから転じて大事なもの
  • 漢字の「質」の字源に学ぶ「品質」の意味
    • 「斤(おの)」は重さの単位。2つの「斤」があるからバランスが取れる(価値として釣り合っているという意味もあるらしい)
    • 「貝」はお金の単位。貨幣
    • モノを載せてどこで「貝」(お金)と釣り合うのか
    • 意訳:金銭の対価としてバランスが取れるモノが質が安定しているとか良いものってこと?
    • 「質屋」、「人質」→品質につながる
  • 競合優位としての品質の歴史的変化(品質の3レベル)
    • 第1レベルの質(顧客の基本的欲求への適合)= CCR 顧客苦情解決
    • 第2レベルの質(明示された顧客要求の満足)=CS 顧客満足
    • 第3レベルの質(顧客の潜在欲求を探索し顧客の期待を応えた歓喜を実現)= CD 顧客歓喜
  • 自動車を例にすると
    • 昔はエンストが多かった(自動車を動かす基本的な機能が不足)→ 窓の開閉ができない(客からの要求に応えられていない)→長距離運転(しょっちゅう路肩に車を止めてルートを確認する→それは車の問題と考えられていなかったが、ナビの登場で顧客歓喜
  • 顧客歓喜だけを追求してもダメ。顧客苦情解決や顧客満足は前提となる。
  • 品質についての狩野さんの疑問
    • 子供のころの品質の思い出
      • B: すぐに壊れる玩具 → 「良い品質とは壊れにくいもの」という期待をもって育つ
    • 大学での講義(石川馨教授)
      • A: 「消費者を満足させる品質」を学ぶ
    • Bは石川先生が説くAに対して必要であるが十分ではない。
    • 「不満をもたらす品質と満足を与える品質は異なるのではないか」と考え始める
  • ハーズバーグ理論
    • QCサークル
      • 場で働く従業員・スタッフを小集団に分けて、品質管理・品質改善について自主的に話し合い、意見を出し合って、実際に行動に移していく活動のこと
      • 現場の作業者がカイゼンしていくから日本の製品は良い。
    • 日本での品質管理は大部分がエンジニアが実施していたが、アメリカでは行動科学屋(産業心理学屋)がやっていた。
    • その中にHerzbergの動機付け衛生理論(M-H理論)があった
  • アリストテレスの品質論
    • アリストテレスは『形而上学』で質について次のように主張
      • 実体が持つ種差
      • よし(優秀性)とあし(劣悪性)
    • 人間と馬は種が違う → 人間は脚が2本、馬は4本 → 脚の数は人間と馬の種差を示す質
  • 品質とは、ある事物に関して、2つの品種が存在する時、その種差を指す。
  • Q: ソフトウェアを扱う以上、品質統制、品質管理、魅力品質創造の境目があいまいじゃない?
    • A: 品質のライフサイクル。リモコン=出てきたときは魅力品質、今では当たり前品質だけで10年かかった。
    • 携帯電話で色々な機能が付いたのは早かった。数か月
    • 何か月を追いかけるのか?年単位で追いかけるのか?基礎研究、応用研究?どの辺の滞留期間を設けていく?感性の問題で変わってくる。
  • 物の品質とは何かを考えることは、ものをどう認識するかと密接に関わってくる
    • Primary Quality:客観的に明らか(横軸、物理的充足状況)
    • Secondly Quality:感覚的なもの(縦軸、使用者の満足感)
  • 品質の変化
  • 品質のライフサイクルについて学生の理解度が悪かった。
    • 学生が理解できないのは教える側が悪い。
    • 「MaryとJohnの物語」(恋に例えることで理解力向上)
  • Q:某メーカー品質本部の方。論文のまとめに、「製品企画の方向性を明確にできる」とあった。会社でも価値の高いプロダクトの企画をしたいが、企画段階で品質を計画していこうという流れになっている。方向性を明確にするというのは何をどれくらい決めていくものなのか?
    • A:魅力品質は認識論の話。私個人はエンジニアで、そのスピリットを叩き込まれている。何か新しいものを作る時に魅力品質のあるものを当然作りたい。
    • コニカ:1960年代まではトップカメラメーカーだったが、1960年代にブームにうまく乗れなかった。
      • カメラについては色々とインタビューしているが撮影については聞いていない。
      • 撮影者、どういう撮影をするのかをインタビューすればいいのでは?
      • 顧客の写真について調べるとピンボケと露出不足が発覚→カメラの問題ではなく撮影者の不注意だった。
      • 撮影者の体験をよくするために、フラッシュ内蔵やピンボケ補正しなければ
    • 魅力品質が出ると大喜びする。でもこれからやっても他社もやっているので競争に追いつけない。
    • 無関心品質に着目することが大事。無関心から新しいイノベーションを生み出すべき
    • 潜在的要求の発見が魅力品質創造につながる
  • Q: 逆品質から魅力的品質に切り替わるターニングポイントは?
    • A: 新製品は5年で打ち切って成功したものはない。投資を続けなければならない。単に技術屋に何かやれというだけではだめ。
  • Q: 長く魅力的品質を持っているところは、ブランドも関連しているのではないか。魅力的品質とブランドの関係を教えてほしい。
    • ブランドはそのメーカーから出荷された製品を使用した多くのユーザから得られた評判の累積
    • ブランドは変わる。Made in Japanは1970年代ぐらいまでは粗悪品。今はMade in Japanはいいと思っている。昔は粗悪品の代名詞だった。
  • ブランド力 = ブランド力 + 営業力+製品価値 + [ブランド方針]
    • 今年の努力によってリカーシブルに増えていく
感想

品質とは何かということを「質」の語源から知ることができて、今まで聞いたこともない話だったので大変興味深く引き付けられました。 狩野モデルについては何となくこんなグラフがあるかぐらいは知っていましたが、内容についてあまり把握できていなかったですが、無関心品質魅力的品質一元的品質、当たり前品質のそれぞれの品質について納得できる内容でした。 一言に品質と言っても奥が深く、何を観点としていくのか、何を目指していくのかで観点も変わるのかなと思いました。 新たなイノベーションを生み出すためにはユーザが無関心であることに目を付けて魅力的品質を見つけていかなければならないという部分はなるほどなと感じました。よりユーザに対してインタビューや観察をすることにより潜在的要求の発見し、魅力的品質を創ることを目指していかないといけないなと思いました。そのうえで日頃の開発でも前提となる品質を担保していくことが大事だなと思いました。